よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

光輝くビルのように生きる

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 高速を続けて走っていくと八重洲から、呉服橋、大手町を抜け、毎日新聞社を左にみながら車は進みます。早稲田を抜け、そして護国寺を通りすぎると北池袋にさしかかります。
 
 写真は、サンシャインの近くのトヨタビルです。トヨタはGMを抜き世界でトップになったと新聞が報じていました。日産は少し凋落。ゴーン効果でリストラを成功させたものの、次のステップで、クリエイティビティの発揮ができなかったのではないかと考えます。ホンダが何でも一番になりたいとF1参戦をし、ロボットをつくり、両翼の上にエンジンをつけた小型飛行機で航空業界に参入したとテレビで特番を組んでいましたが、皆と同じことをしたくない、という風土はとてもすばらしいと思います。

 で、トヨタのビルはいつも燦然と輝いています。リストラは一度にするからリストラクチャーではあるけれども毎日カイゼンをしていればそれは日常です。また人と違うことについても、特徴的に何か、これが違うということではなく、日々の仕事のなかに織り込んでいければそれは目立たないけれども進化です。F1、ロボット、飛行機といった目を見張るものではなく、実直なまでに仔細なところで、品質に拘り創造する、これがクリエイティビティを文化にしたヨタであると思います。
 このビルをみるといつも思い出します。はででもなく、大騒ぎもしない、ニュースにもならないくらいに当たり前にこつこつと工夫をし続ける組織のことを想像します。

 そして病院を思い浮かべます。文具のノリひとつにバーコードを付け、在庫管理をする病院と、倉庫にいけば文具、消耗品取り放題の病院を、在庫のロスを極限まで減らすために努力をしている病院と、医師が節約のために検査食を昼食に食べることができる病院を。
 
 さらに、DPC点数表を看護師長が持ち歩き、常に患者が入院すればどう管理すればよいのかをAB期間で考える看護師のいる病院と、DPCは包括でしょう、もうまるめはこりごりだ。うちの病院は出来高でいきます、とわけのわからない理解をしている院長のいる病院を。
 
 業務改革を必死にやるため、理事長が四位一体を理解し、やはりマニュアルだと宣言し、あっという間に1000以上のマニュアルを作成することができる病院と、何ヶ月たってもマニュアルをつくりはじめない看護部がいる病院を。

 何も目立つことはいりません。これが一番というものをもつことは素敵なことでしょう。しかし、日々の努力のなかで、気がつけばすべてにおいて高い質と意欲をもったスタッフで溢れている病院はもっと素敵です。地道にかつ実直に、制度に翻弄されず、常に自院の医療の質を高めていくこと、そのために工夫し創造することにのみ、専念する。そんな病院が絶対トップになるのです。地域から尊敬され輝くブランドとして認められることになります。
 
 このビルをみるたびにいつもそんなことを思い起こします。そして、できるだけ多くの病院が、そうした病院となることをいつも願います。

 私の車はキラキラした輝きを浴びて、ビルの横を心地よく走り抜けていきました。