よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

DPC病院で必要な人材

DPC病院では、高密度で質の高い合理的な医療を行うことが期待されています。

そこでは、正確かつ短時間で業務を完結する能力や、コストパフォーマンスが求められます。前者では、
▽高い志=高いモチベーション
▽資格に応じた技術技能
▽組織で決めた目標を確実に達成する姿勢
が重要ですし、

後者においては、
▽日常的な改善活動
▽医療安全の徹底的対応
▽部署間コンフリクトの解消
を行う能力が大切になります。

 ここにすなわち、短期間で入退院が繰り返され、そのなかで質を担保していくためには、一つ一つの仕事の仕組みがあるべきかたちになっていると同時に、それを使いこなす質の高いスタッフが必要となることが分かります。

病院として、職員がそうではないことに甘んじているのであれば、DPCをうまく回すことはできません。「よい医療をしよう」という強い思いをもって日々活動する職員だけが、DPCの求める医療を乗り越えていけるのだと私たちは経験的に理解しています。

 そして病棟を運営するにあたり、タイムマネジメントを基礎として、もっとうまく、はやく、合理的に仕事を変えていこうという力があれば、生産的な仕事ができます。

さらに医療安全が正しく実施されなければ、いかにコストを必要とするのかについてもここで考え対応する必要があります。

学習ができていないために、何度も同じ事故を起こし、同じ医療安全レポートを書き、同じ原因分析を行い対策をたて、そしてマニュアルにそれらを残し、さらに教育を行うといったことが、何回も行われることだけは避けなければなりません。
もちろんDPCの制度上、レベル2以上の事故では在院日数が延び収益が落ちる可能性があったり、3b以上では病院が負担するコストが驚くほど増加することが知られています。

 また、部署間コンフリクトがあれば、仕事がまっすぐ進まず、いつも調整をしながら活動するといった状況になりますが、これも避ける必要があります。

コミュニケーション能力をもち、他人の立場にたちながら、リーダーシップを駆使し、正しい道を探ることができる脳力をもたなければ部署間コンフリクトを解消することはできません。

 DPC病院は、急性期の医療を行う場であり、複雑性と効率性が求められている以上、常に自己研さんし、積極的に何かをつくりだしていこうという職員が成果をあげる場所でもあると考えています。

他の業態の病院においても、それぞれの要請に基づき、さまざまな改革や改善を繰り返しながら地域医療を行っていることはよく理解できますが、DPC病院においては、総合的にみて、より高いマネジメントの質が求められています。

 厳しい環境を迎え、各病院は今まで以上に、優れた人材育成を行うことが地域医療継続の要諦であると理解して、益々の人材育成に舵を切らなければならない時期がきたと考えています。

職場内教育、集合教育、そして自己啓発支援のための仕組みが求められる所以です。