よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

医療崩壊(1)

 皆さんお久しぶりです。ブログ1ヶ月近くも休んでしまいました。というのも、大きく仕事が変化してきているからです。7月以降療養型病院はどんどん業績を落としています。そして急性期病院も他人事ではありません。医師の不足問題をはじめ、多くの課題を抱え、業績を落とす病院が増えています。
  
 というか、それまできちっと経営してきていない病院が、ここに来て、その事実がおもいっきり露見した、ということでしょうか。医療制度改革以前の問題がある病院が大半です。私のオフィース(東京)の机のうえには病院の決算書が山済みになっています。全国の病院が売りに出ているからです。

 ある病院は銀行のコンペで債権を売られて理事長自身も責任をとらされ、破産する、しかし職員は詳しくはしらない。あるいはある病院は借入金の返済ができずに、不動産ファンド会社に病院を売り、あるいは建物土地を売り、リースバックで資金を作りしのぐ、といった状況があります。ある九州の病院は新病棟を建築したとたんに倒産しそうになり、売りにでています。
 また、ある東北の病院は新病棟の借入金を一銭も払わずファンドに体を預けることになりました。

 我々はそうした銀行やファンドの依頼を受けて、コンサルティングに入り、経営を立て直す、従来からいくつかの銀行とそうした企画で仕事をしてきていますが、半端な量ではない状況になってきたのです。
 
 スタッフも増員をかけていますが、急に病院というとても難しい業種で再生コンサルティングをできる者は日本にもそれほど多くなく、ブログを書く時間が捻出できなかったということです。

 うちのスタッフも徹夜をしたり、夜終電まで頑張ってくれています。しかし仕事が増えるからといって単純に喜べない状況があります。日本の医療が崩壊しかけているのではないかという恐怖があるからです。

 よい医療機関は益々良く、しかしよくない医療機関は益々悪くなり破綻する。厚生労働省がまさに医療の原点に帰り、合理的で質の高い、そして高密度な医療を目指しているかぎり、こうしたことは起こるということはよくわかります。

 ただ、急激すぎる。
 
 急激すぎるために患者はどうなるのか、という視点がみえてこない。医師はわがままに残業はしない、早く帰りたい、オンコールはでない、救急車は断る、はたまた新患をことわる(面倒くさいからだそうです)、休日が欲しい。確かに医師も人間であり神聖化するつもりもなく、偶像化するつもりもありません。

 でも環境はこうである、医師もこうである。他のスタッフもそうである、そうした状況で、病院が破綻する。患者の軸足にたった、医療がなぜできないのか、マクロとミクロのレベルの問題や課題が多くみえてきていることは確かです。

 思いのままに書いたのでまとまりがなくなりましたが、我々は結局は闘うつもりです。
 
 良いスタッフに恵まれている私たちが、微力ではありますが、まず立ち上がります。いま全国で良心をもち、現実と戦っている多くの医療従事者の黒子になる覚悟です。良い医療、患者の視点で医療(そして最近は介護のシステムづくりも行っていますが)マネジメントづくりにに挑んでいきます。力不足であるし、研究しなければならないことだらけですが見ていてください。また、報告します。

「ドクタートレジャーボックス同時掲載記事」