よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

こうして一人で夜の事務所にいて思うこと

 先日、リスクマネジメント委員会の方と話ました。リスクレポートを見ると、どれもこれも単純なミスの集積から発生している事故だらけです。

 その内容も1~5まで、多彩です。しかし、そこで起こっていること、日常行われていることを知ると、そうしたことが発生してしまう現実がみえてきます。壮絶な戦いが現場では行われています。想像を絶する仕事が医療であることがわかります。

 それも老人の、人生の最後を迎える人々の生活を支えていかなければならない。家族に代わって…。明らかに他人にできない、自分の家族でもここまでできるのかという看護やケアをしているスタッフやとりわけ看護師の姿には胸をうたれます。
 
 せん妄状態にある老人に対し、家族以上の扱いをしてくれる看護師さん。尿まみれの患者さんを清拭し、着替えさせ、シーツを変え、食事の介助を行い、そして事故が起こる。確かに事故は明らかに単純ミスではあるけれど、もし、看護師さんたちがいなければいったいこの老人たちは、そして明日の私たちはどうなるのかを考えると、その壮絶な戦いを思うと、教科書的なレポートに対するコメントを言うことができないと感じることがあります。

 しかし、だからこそ、きちっとしたシステムと仕組み、牽制体制や支援体制をつくりあげていく必要があるのではないか、と思い直します。やはり、業務改革や事故対策の標準化を図るなかで、彼女たちが天使でありつづけるための環境を整備することが組織の役割ではないかと…。

 病院という人間の最後の心の支えを守り、そして存続し続けるために組織が変革しなければならない、それが我々の行動のよりどころになっていると思うことが多くなりました。